tenjuu99(天重誠二)
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こうしたことを考えて、抽象絵画の担い手に移民がおおかったことなどを想起した。岡本太郎がパリでアブストラクションの運動に身を投じたのは、ヨーロッパの文化的背景を切り捨てて絵画と向き合うことができるためだったし、ロシア人のカンディンスキーがモネの倒立した絵を見て抽象に至ったのも象徴的なことだ。絵を歴史的な文脈から解放することが、抽象の要請にあったわけで、それはヨーロッパ中心主義なのではなく、ヨーロッパで周縁化されたアイデンティティが生みだしたものだ。マティスが抽象に行かずオリエンタリズムに向かったのも同様の理由で、彼はヨーロッパ中心主義を強く内面化しているためだ。