tenjuu99(天重誠二)'s avatar
tenjuu99(天重誠二)

@tenjuu99@hollo.tenjuu.net · Reply to tenjuu99(天重誠二)'s post

これは、2023年のマティス展のことを想起しながら書いている。あの展示では、マティスの造形的発展が物語化され、マティスの旅行も戦争もないが如くだった。マティスの旅行はアルジェリアやモロッコ、タヒチなどで、だいたいフランス植民地である。彼が光を求めてこうした国に行ったのも、ゴーギャンという先例があり、脱西洋的な文脈意識でやっているわけだけど、こうした文脈はすべて切り捨てられる。

tenjuu99(天重誠二)'s avatar
tenjuu99(天重誠二)

@tenjuu99@hollo.tenjuu.net · Reply to tenjuu99(天重誠二)'s post

こうした隠蔽を正当化するのが、「近代化」という物語であり、もはや当初の形すらわからなくなった進歩史観である。

tenjuu99(天重誠二)'s avatar
tenjuu99(天重誠二)

@tenjuu99@hollo.tenjuu.net · Reply to tenjuu99(天重誠二)'s post

戦前の植民地主義の隠蔽語りは、日本に特有のことではないように思われる。

以下の記述は、2023年マティス展のカタログからの引用だが、これを書いたのはフランスの学芸員(美術史家?)である。

"マティスの「オダリスク」は––アングルやドラクロワのオリエンタリスム(東方趣味)絵画とは違って––単なるモティーフでも画題のカテゴリーでもない。それは絵画の構成要素そのもののあいだに生まれる緊張の調整という観点から絵画表面を考える、新たな発想を指しているのである。"

https://blog.tenjuu.net/2023/04/henri_matisse

マティスの行動と制作を見れば、伝統的なオリエンタリズムとつながっていることは自明であるのだが、伝統的なオリエンタリズムからの切り離しと、マティスの旅行先が植民地であったことへの記述がないこととは、一連の語りである。マティスは、ただ旅行し、ただ絵画を描いたことになる。