tenjuu99(天重誠二)
@tenjuu99@hollo.tenjuu.net · Reply to tenjuu99(天重誠二)'s post
「時代のプリズム」は、比較対象に椹木野衣企画の「平成美術」を据えるとわりとの視点が際立つ。対象とする期間もかなりかぶるし、コレクティヴィズムの動向を追うという意味でも類似するのだけど、椹木が一国内の自閉的な歴史を描こうとしてしまうのに対して、「時代のプリズム」は平成年間の日本の国際的な交流のなかで生じたものを扱っている。 柳幸典の The World Flag Ant Farm はこの展示のコンセプトを象徴する作品だと言えるろう。砂で作られた各国の国旗を、蟻が這いまわって壊していく。この作品は国家間での交流による相互浸透の過程のようにも見える。「時代のプリズム」が扱うのは、まさにこうした事象で、オルタナティブスペースによる海外アーティストの招聘の紹介をプロローグに置くのは、それ以降の美術が国際交流のなかでの相互浸透的なプロセスであることを示そうとする意図があるとおもう。椹木にはまさにこうした視点がなく、確固たる日本のイメージを構築しようとしてしまう。柳が蟻の通路を作ることで、国旗のイメージが溶解させたような、そうした外と通じる通路が椹木には存在していない。