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漱石の悪口言ってたのは坂口安吾だったかも。古い道徳に拘泥って悩んでるだけとかなんとか。その古い道徳というのはいまの言葉でいえば家父長制のことだと思う。まあ太宰とか坂口とか、ある世代の作家がとくに戦後すぐ頃に、武者小路実篤とか志賀直哉とか上の世代の白樺派に噛み付いていたのは、彼らの考える個人の自由が家父長制の内部からでてきたものだったからで、それに対抗するには家父長制の外部としての女性、とくに恋をして家庭を形成しない女性というモデルが必要だったんだとおもう。

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このへんだな、たぶん。 https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42901_23096.html 安吾は漱石と島崎藤村をディスっているけど、いかに彼らが封建的な家にとらわれていて、家から自由な自己を見出す努力をしていないかという批判をしている。こうしたテキストが敗戦からすぐでてくるのも、家制度というものの束縛がいかに強かったかということだし、敗戦が家・ジェンダーの制度を一時的に崩してしまったからだとおもう。「こころ」の「先生」がなぜ離婚を考えるという発想がなくていきなり自殺するのかという疑問はたしかになと思う。「家」制度の外部がないからだよね。

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太宰の「如是我聞」も、ずいぶんひどい志賀への罵倒なんだけど、内容はマッチョイズム批判で、戦後のこの時期に「男性の男性らしさ」にうんざりする男性がいてそれが作家活動をしていたことは、やっぱり敗戦が「男性的なもの」を傷つけていたからなんだろう。 https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1084_15078.html