
tenjuu99(天重誠二)
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ずっと積んでた『戦争と美術 1937-1945』の論考をようやく読みはじめたけど、針生一郎の文章がおもしろい。藤田の『アッツ島玉砕』を観たとき、針生は右翼学生だったらしいが、この絵を「わるい、わるーい」絵だと直感したらしい。
"荒涼とした北海を背景に、どす黒い肉体と死骸がはげしくもつれあい、銃剣をふりかざして米兵におそいかかる日本の将兵の中央で、山﨑部隊長が八面六臂ともいうべき激闘を続ける。凄惨苛烈な殺しあいの光景をこれでもか、これでもかとばかり描きこみながら、作者の魂はまったくここに関与していない。彼は野次馬の嗜虐的な興味に駆られてこのむごたらしい場面を描きながら、その効果をニヒルに、偏執狂的にたのしんでいるだけだ。しかも、それによってこの絵は、戦争末期のデスパレートな心情に通ずるものがあったのだ。"